第9章 手が届く
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義母上が教えてくれたようにしてみた結果、一ヶ月しないうちにしっかり授乳出来るようになっていた。それ故か美月の寝る時間も増えてきたように思う
まゆ「美月可愛い♪美味しいのーそうなのぉー♡」
縁壱「美味いのか……?それより痛みなどはないか?」
我が子が一生懸命に口を動かして乳を吸っているのが可愛らしく、悪いと思いつつも構いたくなる。頬をツンツンと人差し指で突付くと、美月の可愛さと頬の柔らかい感触に、思わず口元が上がってしまう
まゆ「あー、乳首切れたわ…保護しないとね~。でもさ、美月が上手に飲めるようになったのもあってか大分楽になったよ♪」
縁壱「良かったな。それにしてもまゆと美月が愛い…こんなに幸せで良いのだろうか…」
愛おしくて愛おしくて、柄にもなく永遠を求めてしまいそうになる。人である以上は永遠の時を生きる事など不可能だというのに…私は一体どうしてしまったのだろうか
まゆ「ふふっ、縁壱さんったらそればっかなんだからぁ!お父さんはね、お母さんと美月が大好きなんだって~嬉しいね♡」
縁壱「あぁ、大好きだ。愛おしくて堪らぬ」
それにまゆは痣者だ…私と美月を置いて逝ってしまう事が決まっているのだ。その時が来るのが怖くて仕方がない
まゆ「私も縁壱さんを愛してるよ。美月も、お父さんが大好きだもんねっ♪」
縁壱「ふふっ、ありがとう。とても嬉しい」
まゆは、どうしたら痣者の宿命を逃れる事が出来るのだろうか…私は最近そればかり考えてしまう。しかし、生まれつき痣者の私とは違うのだ、生き残る道など無い
まゆ「お腹イッパイかな?寝ちゃうね(笑)縁壱さんゲップお願いしますね」
縁壱「あぁ、お腹イッパイになれたのか。良かった…」
私はまゆから美月を受け取りゲップをさせてオシメを変えると直ぐに深く眠った
まゆ「最近手慣れてきたね♪頼もしい旦那さんで幸せ♡」
縁壱「うむ、私も幸せだ。まゆ…」
まゆ、お前を亡くしてしまったら私はどうしたら良い?と、言いかけてやめた
まゆ「ん?」
縁壱「否、何でもない…」
お前を困らせるだけだから…
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