第9章 手が届く
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縁壱と交わった日から一月が過ぎた頃…
桃太「よっ!今日もアホ面だなwww」
まゆ「も、桃っ、おぇー」
まゆは本部の裏庭に呼吸を使い、少し穴を開けて嘔吐している。穴を開けたのは、後で埋めようと思っているのだ。一応は…
桃太「失礼にも程があんぞ熊!」
まゆ「ちがっ、おぇー」
桃太は「ったく大丈夫かよ~柱だろーが、しっかりしろ」とまゆの背中を擦り、吐くときに苦しく無い様に補助をする。不器用でも優しい桃太なりの応援だった
桃太「飲み過ぎだ馬鹿、とっとと医務室行くぞ!」
まゆ「うい!」
桃太は次男で下に兄弟が八人程居るからか、何となく事態を察してまゆを医務室へと連れて行く。憎まれ口を叩きつつまゆを励ますと直ぐに稽古に戻って行った
まゆ「稽古してたのにごめんね」
桃太「何言ってんだよぉ…元気出せよな。俺は稽古に戻るぜ!じゃあよ(焦れったいんだよ!早く俺を諦めさせろ…)」
まゆにはこの症状に覚えがあった。吐き気と頭痛に加え胸が張り、身体の怠さと目眩、そして月の物が飛んだ。そう、巌勝の子を身篭った三年前に…
まゆは「症状はこんな感じ」と、症状を告げた。相手の名前は伏せ、縁壱と交わった事も…
浦太郎はまゆの腹を押さえて触診して答える。気配を感じる事に関しては定評があり『気配を探る専門の隠しになってほしい』と朔也から誘いが有った程だ
浦太郎「僕ね、戦えないけど気配は敏感なんだ。確かに居るよ、赤ちゃんが」
まゆ「………今回は何となくわかったよ、でも誰にも言わないで!私と亀ちゃんの秘密ね…独りで産むから」
浦太郎「ねぇまゆちゃん、赤ちゃんは一人では出来ないんだよ。だから相手に言ったほうが良い。っていうか言わなきゃダメだよ?」
浦太郎にはまゆの腹に居る子供の父親の検討はついていた。縁壱もまゆも、その時の欲情のみで事を致すような者達では無いとわかっている上で言っているのだ
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