第1章 出会った運命の人
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巌勝「縁壱、縁壱っ」
縁壱「…?」
巌勝は他のものに見つからぬように縁壱の部屋に行き、声を潜め縁壱に話しかけ手を差し出した
巌勝「先日産まれた御影殿の赤子が母上の部屋に寝かされておるから来い!百合殿が縁壱もと仰っていた」
縁壱は、どういう気持ちの顔だかわからない顔で頷くと兄、巌勝の手をとり歩き出した
朱乃の部屋に着き、そっと襖を開ける
巌勝「母上、百合殿!縁壱を連れて参りました!」
百合「ふふっ、ほらまゆ。巌勝お兄さんと縁壱お兄さんにご挨拶をしましょう」
そう言って百合は巌勝と縁壱にまゆを抱っこさせた
巌勝は赤子に笑いかけ、その小さな手を握り話しかけたり頬ずりしたりヤバかった。もうそれはそれは、凛々しい巌勝兄さんどこいったぁぁぁぁ!な、現場でした
巌勝「まゆは愛いな、一生護らねばならぬぞ縁壱!」
縁壱に巌勝が話を振ると縁壱もニコリと笑った
まゆは継国家の隣に屋敷を構える御影家に産まれた。御影家は武家であり継国家と同格で父、母同士も仲が良い為家を行き来するのも日常茶飯事なのである。その為今日は産まれたばかりのまゆを継国家に連れてきたのだ。縁壱をまゆに会わせられたのは、父同士が居間で酒をのんで話し込んでいるので朱乃と百合が大丈夫だと踏んだ為である
朱乃「百合、巌勝と縁壱はまゆを大変気に入ったようですね」
朱乃が顔を綻ばせて笑うと
百合「あらあら、ならばどちらかが娶ってくれたら安心なだけどね」
百合も微笑み答える
巌勝「むっ、百合殿!私がまゆを娶ります」
巌勝はそれまで崩していた足を武家の跡取りらしくキッチリ正座をしてまゆを娶ると言った
巌勝「そして、沢山子を産ませます。死ぬまでイチャイチャしますゆえ!!」
朱乃・百合「(あー…)」
百合「仲が良い事は良き事、まゆを頼みますね」
巌勝「はい!」
その間、縁壱は百合の手の中に居るまゆの手や足をコチョコチョしてていた。ずーーーっと
縁壱「まゆふわふわ…)」
時は過ぎ、巌勝・縁壱七歳。まゆ三歳の頃、継国朱乃はこの世を去った
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