第1章 出会った運命の人
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竜SIDE
最近、俺の妹であるまゆがおかしい。夜はいつも夕餉の後は居間でゴロゴロと家族に甘えたり談笑したりと、眠くなるまで部屋には行かなかったのに、ここ二ヵ月は風呂を済ませたら直ぐに部屋に行ってしまう
二ヶ月…ん?巌勝が毎日の様にまゆだけを稽古に誘いに来始めた頃か、思えばあれから毎日だ。巌勝との稽古がそんなにキツイのか!?そんなキツイならお兄ちゃんが巌勝に…
否、待てよ…まさか
今日もそろそろ巌勝がまゆを迎えに来る時間だ
こうなりゃ直接聞いてやる!
俺が木剣を振りつつ考え事をしていると、巌勝に声をかけられた
巌勝「竜おはよう」
竜「おはよう。まゆなら今着替えてんぞ多分」
木剣を振る手を止め巌勝を見ると、顔を紅くし「そうか…///」と答えた。オイ、何故顔を赤らめる!?おまっ、ちょっ!ムッツリめ…
竜「で、また稽古か?何故まゆを連れ出す。俺の家で皆ですりゃ良いだろ」
巌勝「…集中したいのだ」
集中ねぇ、一人で集中してなさい
竜「何でまゆなんだよ」
巌勝「まゆは強い…動きが読まれているような時がある。そのような相手との稽古は私にとって有意義…(正直言ったらまゆと一緒に居たいからなのだが…これも本音)」
確かにまゆは強い、俺や兄貴達の動きも簡単に読まれる。だが、まだ身体がついて行かない部分はある
御影家の誰よりも才はあるかもしれん。が、しかし年頃の妹を幼馴染みとはいえ、他人の男と二人きりにするのはどうかと思う
竜「まぁ…そうだけどよ。まゆは女だ」
巌勝「だからどうした。まゆは日本一の女の侍になるのだろう?まゆは優しいから家族には遠慮がある。ならば高め合える相手と稽古をしたほうが良いのでは?それにまゆは私との稽古を望んでいる(えぇい竜、追求するな。早くまゆに会いたい、抱きしめたい、接吻したいのだ!)」
はっ?まゆが遠慮だと…してんのかアレで!?
俺先日ボッコボコのベッコベコにされて、三途の川の向こうでお祖母様に「あら、竜ちゃんどうしたの?」とか聞かれちゃったけど?
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