第2章 出会い
わかったことがある。刀剣男士が使う万事屋は政府の元へ繋がれていること。それ以外の用足しや買い物は普通の場所でするということ。
引っ越してきてから数日たったからこそ分かったことだ。まぁお隣さんと言っても刀剣男士であるから、そう会うことは無い。
「お嬢さん。1人かい?」
誰に話しかけてるんだろう。この三木ボイス。絶対大般若だ。ナンパか? 大丈夫だよ、お前ならほっといても寄ってくる。なんて思いながら地べたに座り込み本を読んでいたら、私の影が色濃くなった。
背後を振り向けば、大般若が私を見下ろして微笑んでいた。怪訝そうな顔で見つめながら距離を取れば、慌てて両手を上げて怪しい者じゃないアピールをしてくる。変なおじさんだ。
「そんなところで一人だと危ないなぁ」
「……」
「おじさんは危なくないぞ」
危なくないことくらい知ってるけど話しかけないで欲しい。人が折角本を読んでたのに。ぶすくされながらもう一度本を読もうとすると、再びおじさんに話しかけられる。
鬱陶しいと表情に出して大般若を見たあと、ふと我に返る。そう言えばここは外だ。家の。私は怒られて外に放り出されていたんだっけ。
「お父さんとお母さんはどうしたんだい?」
「パパはしごと。ママにおいだされたからはんせいしたふりしておとなしくしてようって」
「……中々な悪ガキだな……何したんだい?」
「なんも。いつものやつあたり」
無感情な声でポツリと呟けば大般若からの返答は返って来なかった。集中して本を読もうとすれば、頭を軽くポンポンとされた。無視してそのまま読み進めようとすれば、大般若に抱き上げられてお隣の本丸に連れて行かれる。
慌てて暴れれば、大般若に背中をポンポンと軽く叩かれて大人しくしざる得なくなる。なんでと呟きそうになった言葉を飲み込み、大人しくしていれば温かい、けどおもい広間に案内された。
「おぉ〜い。祖〜」
私を誰もいない広間に置いて行ってしまった大般若にため息をつく。広間の畳を泥で汚さないように、泥だらけの素足を服で簡単に拭う。意味の無い行動だとわかっているが、恐らくここにご飯が配膳されるだろうから汚すわけにはいかない。迷惑をかけちゃダメだ。
じんわりと浮かびかける涙を、無理矢理服で拭いて大般若が帰ってくるのを待った。迷惑をかけてしまえばまた母に怒られる。それだけが頭を支配していた。
