第1章 いつもここから
人に言えない秘密というものは誰にでもあると思う。私の場合はそれがたまたま、転生者ということだけだ。
通り魔に襲われた辺りまでは覚えている。腹から足まで伝う生暖かい感覚と異物感。謝る母の声と救急車の音。そこまではよしとしよう。目覚めれば異世界はどうもいただけない。
まあ、なったものはしょうがないとして第二の人生を楽しむとしよう。幸い、辰巳辰巳という名前までは変わっていなかった。世界観も現代ということは、これは私のifの世界なのだろうか。
「アオバ、E組に落ちたからっていつまでも落ち込んでちゃダメよ!」
……聞き慣れたお母さんの声がする。涙をこらえ、ここが暗殺教室の世界ということを確認して、朝食を食べに階段を降りた。