第1章 産声を上げた日
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「ヴィザ、ヴィザ、聞いて。今日ね、トリオンでこの国の縮小模型を作ったの。見てちょうだい、うまく出来ているでしょう?」
リヴィは生まれて数ヶ月、誰にも懐かずに一言も人と話さぬ日が続いていたが、ある拍子にヴィザを護衛に付けると彼女は今までの態度はどこにいったのかヴィザにひどく懐いた。
一重に、ヴィザが他の者と違い、穏やかな雰囲気を醸し出すからだと思うが。幼子は自分に優しい存在に懐く、当たり前のことだ。
「それは、凄い。頑張りましたね、姫様。」
「姫様って言わないでってなんて言えば分かるの?私は、ヴィザにリヴィって呼んで欲しいのに…」
「世の摂理なのですよ、姫様。貴方はいずれ神となる御方なのですから、私どもがそういった扱いをしてはならぬものです。」
「…ヴィザは、私が神様になったら、嬉しい?」
「ええ、それは勿論。じいやとして誇りに思いますよ。」
ヴィザによく懐くリヴィを見たハイレイン達はヴィザに命令をかした。
“ リヴィをよく見張り、この国のマザートリガーになることを円満に受け入れさせろ。”
そんなことも知らない幼子はヴィザの言う言葉だけで世界を完結させ、少し口角を上げて ‘それなら、頑張る’ と言った。
2022.2.4
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