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【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel

第3章 夢【呪術廻戦五条悟】


また場面が切り替わる。




今度は雨が降り止まない中、立ったまま俯く私。




私の目からは涙が溢れていて。




目の前には息の切れている悟の姿。





「悟っ……!傑っ傑が……っ!」




私が悟に手を差し出す。




掌には金色のボタン。





「私のせいだ……っ!私がっ私がっ…!」



「香菜……!!!」



びしょ濡れの私を抱きしめる悟。



「なんで……なんで……?なんでっ置いていっちゃったの傑っ……!」



泣き止まない香菜をさらに強く悟が抱きしめる。




「俺がずっと香菜の傍にいてやるから……!だから泣くなよ……。」




悟の顔は今にも泣きそうに歪んでいて。




彼女の涙と比例するように雨の音が強くなる。





覚えてる。



これは私の記憶。忘れていた記憶。




悟。




悟は私の……




(大事な人……私の傍にいてくれた。ずっとずっと。)




涙が止まらなかった。




なんで忘れていたの?



こんなに大事なことを。なんで忘れていた?







ハッとすると、私はまだ道の真ん中で座り込んでいた。




掌には、光る何か。





それは、




「ボタン……っ!」




金色のボタン。



呪術高専のボタン。




これは傑のボタン……。





これは夢だ。



現実じゃない目覚めなきゃ。







悟に会いたい。







ずっとずっと私を助けてくれた、支えてくれた悟に会いたいの。







「香菜。」





呼ばれた声にぱっと後ろを向くと、笑って立っている傑の姿。




でもこれは、本当の傑じゃない。





「傑……これは、これは……」




「私の望んた夢なんだね……っ」






普通の高校生になって、みんなと遊びたかった。


傑ともっと遊んでいたかった。


傑に会いたかった。




ぼろぼろと涙が止まらなかった。




傑は切なそうに笑ったまま何も言わなかった。




あぁ、そうだなぁ。



こんな風に4人ずっとみんなで普通に遊んでいたかったね。




ずっと一緒にいたかったんだね。




私が記憶を忘れていたのは……





「私が忘れたかったからなんだねっ……」
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