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イケメン王宮真夜中のSPY

第9章 翻弄される宿命




私は…


震える手でその扉をノックした


「クロエ…」

今日は宣言式で慌ただしいにも関わらず私が訪れた事に不思議そうな表情をしていた

「アラン…伝えないと…いけない事があるの…」

私は静かに口を開く

「…とりあえず入れよ」

アランは察したかのように部屋へ招き入れた



部屋に入るとピリピリした嫌な空気が流れた


「…アラン…私……大切な人がいるの…」


アランは何も言わず私をじっと見ていた

「アランには…助けてもらったり、
アランとの想い出もあるけど…っ…」

喉が熱い

こみ上げる熱と嗚咽が漏れる…

なんで…

こんな気持ちになるの…

私はユーリだけを一途に愛すると決めたのに

アランの優しさと想い出が邪魔をする…


「もう良い…それ以上言うな」

アランは私を抱き寄せられた

この香りも二度と感じる事は出来ない…

「…っ.…ごめん…なさぃ…っ」

「…クロエ……泣くなよ…」

アランが私の髪を優しく撫でてくれる


アランの優しさが心に滲みる
胸が痛い……

こんなにも暖かくて優しい人を私は利用しかけた……


「私……シュタインへ…行く事に、なったの…」

「っそれは…決まった事なのか?」

私は頷いた

「そうか……」

落ち込んだ声が降ってきた…


私はアランに顎を掴まれ上を向いた


「…ん」

アランと唇が重なる

こんな悲しいキス…

初めてした…



「今日は宣言式だろ、そんな顔いつまでもしてんじゃねーよ」

顔が離れるといつもの調子で言われた


「そうだね……また、後で」

私は涙を拭ってアランの部屋を出た




私はいつから泣き虫になったんだろう

ここへ来てから泣いてばかりだったな…








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