第4章 思惑
トントン
扉をノックする音が聞こえた
時間は深夜0時頃…
私はこの扉の前にいる人物が誰かわかっていた
「ただいま」
扉をゆっくり開くと帰城したアラン様が立っていた
「お帰りなさいませ、アラン様」
私は深々とお辞儀をしようとしたが顎を掴まれ
「アランで良い…」
唇が触れる距離で囁かれ触れるだけのキスをした
「おまえ明日シュタインへ行くんだろ?
気をつけて行って来いよ」
愛おしそうに私を抱きしめ私も応えるように背中へ腕を回した
「はい……」
「じゃあな、おやすみ…」
今日は抱かないんだ…
ホッとする気持ちとアランへ対する複雑な気持ちが入り混じり
私はベッドへ入った
私はアランを騙している
アランだけではなくこの城の住人全てを
私は実力を買われとても良い部屋を充てがえられているし
何一つ不満なくこの城で暮らしている
胸が痛い……
私はスパイ
明日はゼノ様へ密告する日
痛む胸を抑え眠りについた