第1章 鏡
「…だけどこの姿見…凄い丁寧に扱われていたんだね。」
アルミンの言葉に私は頷きながら口を開く。
「…!やっぱりそう思うよね…」
「どういうことだよ、アルミン。」
「だってよく見てよ、エレン。この姿見傷一つ無いんだ。どう考えても大切に扱われていたとしか考えられない。」
エレンは再び鏡に近付きじっくりと見つめる。
「…!確かにアルミンの言う通り傷一つ無いな…だとしたらこんなに大切にしていた鏡を置いていくのか?」
エレンの言う通り…普通は置いては行かない。
絶対持っていくはず…
なのに…、、、
「…う〜ん、僕もそこは分からないんだけど…例えば年老いたおじいちゃんだったとしたら忘れてて置いていってしまったっていうのも有り得るし、それとも後で取りにくる手筈だった…とか色々可能性は出てくる。」
「んー…有り得るかもだけどなんかやっぱり納得いかねぇんだよなぁ。」
エレンの言葉に暫し沈黙が流れる中、ミカサが沈黙を破るように言う。
「私も納得いかない。けど外せないのなら…っ…絶対何かあったら連絡すると約束してっ!」
両肩を掴まれ真剣な顔でミカサに言われ、私は微笑みながら頷く。
「…うん、絶対約束する。」
するとアルミンやエレンも私の元に来て…
「力になれなくてごめん。だけどは大事な友達だからエレンや僕にもいつでも連絡してね。」
「遠慮はするなよ。納得はいかねぇけど何かあったらすぐ駆けつけるから一人で抱え込むじゃねぇぞ。」
ポンポンと頭を撫でられ、私は気恥しながらも嬉しくて力強く頷いた。
「アルミン…エレン…ミカサもありがとう。何かあったら必ず連絡するね。」
そう言うと三人は安心したように笑った。
まさか、この鏡との出会いで一気に私の人生が変わる事が起きるとも知らずに…。