第3章 変化
「えっ!あれ、キス!?まじで!」
「きゃー!美男美女のキス!」
「やっぱりなんかの撮影なのかなー」
周りの人達の声が右から左へと流れる。
さくらは目の前の光景を見ていることしか出来ないでいた。
まるでスローモーションのように見えた2人のキス。
驚くダイナマイトと少し照れたような素振りを見せる女の子。
まるで映画のワンシーンのような光景にさくらの頭は追いつかない。
今、、、
ダイナマイトがあの子とキス、、、?
どうして、、、?
胸がズキズキと疼く。
『たまたまでも間違いなんかでもねェ』
『お前のことが好きだ』
『私なんか次の人とキスでもしちゃったら、もう昔のことなんか忘れちゃうわ』
ダイナマイトと先輩の言葉が耳鳴りのように木霊する。
どうして?
うまく息ができない。
「ッ、、、」
気がつくと、涙がポロポロと頬を伝っていた。
どうして私、泣いてるの?
拭っても拭っても止まらない涙に困惑する。
「う、、、っ」
そんな資格、自分から捨てたのに。
視線を感じてハッと顔を上げると、ダイナマイトと目が合った。
「ッ!!」
目を見開くダイナマイト。
その瞬間、さくらはその場から逃げ出した。