第3章 変化
カチャカチャと今日もさくらは朝から薬や器具の準備。
それから部屋の掃除に忙しいようだった。
「、、、」
声をかけたりはしない。
爆豪はまださくらがここで働くということに納得しているわけではないからだ。
ただここ数日の働きぶりを見ていると、まじめに一生懸命に取り組んでいることだけは分かっていた。
ま、コイツ、かなり鈍臭ェけど、、、。
「きゃっ、、、」
「!」
ガシャン!という音ともに聞こえる小さな悲鳴に、咄嗟に身体が起き上がる。
ちらっとカーテンを開けるとさくらが転んでいるようだった。
「いたた、、、」
「あ、おいっ」
爆豪が手を差し伸べようとした時、
ガラッ。
「さくらちゃん〜、ケガしちゃったよー」
扉が開いて朝から呑気な声が聞こえてくる。
この声は、、、。
「えっ、さくらちゃん?こけてんじゃん!大丈夫?」
「あっ!上鳴さん!あ、ありがとうございます」
上鳴がさっとさくらの手を取る。
爆豪は小さく舌打ちをした。
「え、えと、き、今日はリカバリーガールは出張でいないので、応急手当しかできませんけどいいですか?」
「あぁ、いいのいいの!さくらちゃんに会いに来たんだから!リカバリーガール、出張なんだ?大変だね!俺何か手伝おうか!?」
上鳴ィ、テメェ、ヒーローの仕事はどしたぁ!?
「あ、あの、怪我はどこを、、、?」
「あ、ここここ!指先切っちゃってさぁ。大したことはないんだけど」
大したことねェなら、いちいち来んじゃねェエ!!
ブチブチと爆豪の脳内で何かが切れていく。
「あっ、ホントだ。絆創膏貼りましょうね」
「うん♡それよりさ、さくらちゃん、今晩開いてる?良かったら俺と食事でも、、、」
「ン゛ン゛ッ」
「え、、、?今の声は、、、って、ヒッ!!」
カーテンの隙間から覗く爆豪と目が合う上鳴。
コロスコロスコロスコロス!!
上鳴の脳内にそんな声が聞こえた。
「上鳴さん?絆創膏貼れましたよ?」
「あっ、ありがと!んじゃ、俺、仕事戻るわー」
「はい、頑張ってくださいね」
ヒラヒラと手を振るさくらの後ろ姿。
「、、、はぁ、、、」
さくらがおもむろに溜息を吐いた。
「、、、?」
何だ、アイツ。