第15章 青の日々 (及川徹)
ヤバい怒ってる…顔が綺麗だから余計に怖いんですけど…っ!
「ご、ごめんなさい…」
『及川のこと呼び出した人はどこいっちゃったわけ』
「お断りしたら泣いて帰っていきました…」
『ふうん。それで暇になってこっち来たの?』
「え、ちが、そんなんじゃない!」
『じゃあなんで…』
「断ると思ってたのに仲良く話してるし…デートの約束してるから…」
あぁなんか泣きそうかも。ちょーーっとでも脈アリかなとか勘違いしたのキツいなぁ。
『及川なんか勘違いしてるよ?』
「え?」
『先輩とデートの約束なんてしてない』
「えっ、でも明日なんか約束…」
『あー、それはねこれだよ』
そう言ってスクバにいつも付けているよく分からないキャラクターを指さす。
「ちゃんが好きなキャラクター…だよね?」
『そうそう、このキャラクター先輩の妹さんも好きなんだって。最近ガチャガチャが出たんだけど私見つけられなくて。そしたらダブったやついくつか妹さんからもらったからあげるねって。』
あ…だからキーホルダーって言ってたのか。待って俺勘違いして告白割り込んで来ちゃったわけ!?ヤバすぎる…ヤバいやつすぎる気がする。
「俺の勘違いですごめんなさい!!!!!」
もうこれでもかってくらいのお辞儀。顔が膝につきそう。
『及川いいって顔上げてよ…』
「ごめんねちゃん。」
彼女の目を見てもう1度謝罪をすると、なぜか少し笑っていた。
『先輩と付き合ったかと思って焦ったの?』
「うん…」
『ははっ、及川の素直なところ好きだよ私』
「え、なになにどういうこと待って…!」
帰るよ、って俺に背を向けた彼女はもう歩き始めていて。まるでいたずらっ子のように笑ったその表情に胸を打たれる。
俺のプレイを褒めてくれたりとかは今まで何回かあったけど "好き" だと言ってくれたのはこれが初めてだった。なんかすごいドキドキいってる…なにこれ。
日を追う事に好きになるなんて。
こんな人がいるのはきっと当たり前じゃないから。
俺はずっと君を追いかけ続けるんだろうな。