第15章 青の日々 (及川徹)
汗ばむような季節でさえ涼しい顔の彼女は今日もお呼び出しを受けている。
「あれ、及川ついてかねえの」
廊下から教室に顔を覗かせたマッキーが空き教室へ入っていったちゃんに視線を向けてから俺を見る。
「嫌がられるから行かない」
「なに、嫌がられたの」
「嫌がられたくない、から。」
着いてくるなって言われたことはないけど…そろそろ怒らせそうだし。
「あぁそう。及川は告白しねーの?」
「何回もしてますーう」
「なるほど。ご愁傷さまです」
「振られてないし!!!」
『及川の声廊下まで聞こえてるんだけど』
「お、ちゃんおかえり~」
『ただいま花巻くん。』
何事も無かったかのように次の授業で使うものを机の上に準備して席に着く彼女。
「あ、あの…ちゃん」
『断ったよ』
「え」
『結果が知りたかったんじゃないの?』
「う、うん!そっか良かったあ~っ!」
「え、ねえちゃんって及川の気持ち知ってるんだよね?」
『知ってるよ』
「チームメイトから見ても及川ってすげえセッターだし顔も良いし、性格はちょっとあれだけど申し分なくね?なんでダメなの?」
「ちょっとマッキー悪口厳禁!!」
あと俺が怖くて聞けないことサラッときくのやめて!
『だって私なんかに及川は勿体ないでしょ。』
「え…?何それ勿体なくないよ!?むしろちゃん以上の女の子なんて一生現れないよ!?」
私なんかにとか言わないで。
俺はちゃん以外考えられないのに。
「そっか、まあちゃんが決めることだから俺はなんも言わねえけどさ。及川は多分まじでちゃんしか見えてないからたまには相手してやってよ。」
『たまに、ね』
手を振って教室に戻っていくマッキーにちゃんも手を振り返す。
「」
『あれ、岩泉どこ行ってたの』
「飲みもん買い行ってた。」
『そっか。どうしたの?』
「なんかこれ、に渡せってさ」
手紙じゃん。ラブレターじゃん。もう!!!
なんなのこの子!?俺よりモテてますけど!!?
どこら辺が勿体ないか説明してよね!!!