第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
side you (4年前)
入学してまもない頃、入る部活を決めかねていた私に声をかけてくれたのは当時男バレのマネージャーをしていた3年生の先輩だった。
あれよあれよという間に仮入部に連れてこられてしまい1人ポツンと男の子の集団に放られた時は心細くてどうにかなりそうだったなぁ。
「あれ、えっとたしか…」
気だるそうに話しかけてくれたのは同じクラスの男の子。
『隣の席のだよ!!3年生の先輩にマネージャー向いてそうってスカウトされて…来ちゃいました。』
「さん。えっと俺は…バレー部入るから。もし入るならよろしく、ね。」
『うん、もし入ったらよろしくね角名くん!』
「俺の名前覚えてたんだ」
『だってお隣さんだもんっ』
最初は名前こそ覚えられていなかったものの、記憶の片隅くらいにはいたみたいで角名くんから話しかけてくれた。心細かった私にはこれがすごく嬉しくて…多分これがきっかけでマネージャーになることを決めた。
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「さんってなんでバレー部入ったの」
そういえば聞いたことないって角名くんからの質問。
『私たちが入ってすぐ転校していっちゃったマネージャーさん覚えてる?3年生の。』
「あーうん」
『転校するのに引き継ぐマネージャーがいなくて困ってたらしいの。でもなんでか分からないけど私に任せたいって先輩のセンサーが言ってたんだって〜』
「へえ〜まあそのセンサー当たってるんじゃないの」
『当たってる?』
「さんにとってマネージャーって天職じゃない?」
『そうかな…?でも、初めてバレー部に来た日 角名くんが話しかけてくれたでしょ?あれにすごく救われたんだよ。』
「じゃあ話しかけて良かったわ笑」
俺、目つき悪いって怖がられること多いからって少し悲しそうに眉を下げた表情を今も覚えている。そんなことなんてないのに。
朝練、週に何度かあるお昼休み中の練習、そして放課後の部活。クラスも一緒で席も隣。いつしか角名くんと過ごす時間が私の学校生活の大半を占めていった。
家もそこそこ近かったからテスト前は角名くんのおうちで一緒に勉強をした。1つ下の学年に妹さんがいるのはその時に知った。角名くんに似て綺麗な顔立ちの女の子。顔を合わせるうちすぐに仲良くなれた。