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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第14章 初恋の君と (角名倫太郎)



角名くんのいない教室。
空いている隣の席が少し寂しいと思ってしまう。

「ちゃんおはようさん」

『あ、おはよう治くん』

「角名は?」

『角名くんは体調崩しちゃってて今日はお休みなの』

「あぁそうなん?ほな、満員電車しんどかったんちゃう。平気やった?」

『電車でたまたま北さんに会って…助けていただいちゃいました。』

「あれ、今日は北さん遅いんや」

『おうちのお手伝いしてたんだって』

「そうだったんや、角名が聞いたら発狂しそうやな」

角名くんがいなくて寂しいでしょって角名くんの席に座る治くん。

「ちゃんとちゃんと話してみたかってん」

『毎日話してるのに?』

「ちゃーんーと、や。いつも角名がべったりで他の男とあんま喋る機会あらへんやろ?」

言われてみれば…と思い返すと転校してきてからずっと私の隣にいたのは角名くんだった。角名くんは優しいから。2年生で引っ越してきた私が早く馴染めるようにとそばにいてくれた。

「ちゃんはさ、角名のことどう思うてんの?」

『角名くんのこと?優しい人だなあって思ってるよ』

「んーちゃうくてその、男としてや」

『男の人として…か。素敵な人…かな?』

「好きになったりせえへんの?」

『…っえ?』

「いや、ほら、あれやん。電車でかばってくれたり、ジャージも角名の着せられとるし、ちゃんのことになると結構敏感てか明らか特別扱いするやん?やっぱ女の子からしたらそういうんはきゅんとくるんかな思ってん。」

『敏感かどうかは分からないけど…うーん…誰にも言わないって約束してくれる?』

「え、うん。なに?」

前のめりになった治くんがいつになく真剣な眼差しで食い入るように私の話を聞く体勢に入った。

『…やっぱり恥ずかしいからお昼のときね。今日は私と2人でもいい?』

「わかった!」

秘密の話なんやろな〜とるんるんな治くんが少し可愛らしく見える。誰にも話したことがないから緊張するけど…。
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