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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第14章 初恋の君と (角名倫太郎)



side you


朝いちばん、角名くんから電話があった。
昨日の雨で体調を崩しちゃったんだって。
大事な選手なのに…私がひとりで行けばよかったなぁ。

久しぶりの1人満員電車。
いつもは角名くんが私を庇うように立ってくれてたからこんなにぎゅうぎゅうなのは転校してきた日ぶりで、角名くんのありがたさが身に染みる。

「あれ、今日は角名おらんのか」

『…北さんっ』

後ろからかかった声に振り返ると制服を着崩さずにちゃんと着ている北さんが目線で角名くんを探していた。

「おはようさん」

『おはようございます』

「えらい潰されとるけど…少しこっち来れるか?」

差し出された北さんの手に捕まって1歩だけ近づいた。

「ここやったら少しは息しやすいんとちゃうかなって」

いつも角名くんがしてくれるみたいにドアと自分の間に私を立たせて空間を作ってくれた。

『す、すみません…っ』

「ええよこんくらい。女の子にこの満員電車はキツイやんな。」

『あの、北さんはいつもこの時間ですか?』

前に日直で早く行ったとき北さんを見かけたから。朝早いんだなあ、北さんって感じするなあって思ったのを覚えてる。

「あーいや、今日は家の手伝いしてたら遅くなってもうた。この時間やとこんな混んでるんやね。」

『お家のお手伝いですか?』

こんな早くからお手伝いって何するんだろう?

「おん、俺の家米農家やっててん。」

『そうなんですか…っ素敵ですね!きっと美味しいんだろうなあ』

「ははっ、ほなこんど食べに来たらええよ」

『え、いいんですか』

「ええよ、いつも世話になっとるしそれくらいさせてや」

『わあ…っ楽しみにしてます!』

北さんってやっぱりすごく優しい人だなぁ。マネージャーの私のこともちゃんと見てくれてる。みんなの方がずっと頑張ってるのに私のこともちゃんと見てくれて…そんな人が主将なんだもん、ほんと素敵だよね。

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