第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
プリントされたシールを2等分にして片方を彼女に渡す。写真の中の俺の幸せそうな顔ったらないわ。
「…カップルみたいじゃない?俺ら」
これは単純に素直な感想。俺が勝手に距離詰めただけだけどちゃんも笑顔だし、俺も幸せそうだしカップルにしか見えないよこれは。
『…角名くんのファンの人たちには絶対バレないようにしないとだね…。』
「なんでよ俺別にアイドルでもなんでもないのに。」
『でも稲荷崎の男バレはアイドルみたいなところあるもん…』
それは侑たちでしょ。俺は違う。
「俺はこれスマホの裏に挟むけどね。」
2等分したプリクラはちょうど全部スマホの裏に収まる大きさ。シンデレラフィット!
「設置完了〜」
『侑くんたちになんか言われない?』
「別に何言われてもいい。俺の宝物だし。」
『こんなのが宝物なの?』
「俺にとっては"こんなの"じゃないけどまあ、うん。」
『ふふ、嬉しい…っ』
なんなら帰って治に報告電話でもしようかと思ってたくらい。初めて撮ったプリクラは侑たちとふざけて撮ったやつ。2回目はちゃん。念願すぎる。最近は休み時間とか部活の休憩時間に治が写真撮ってくれるからツーショットも溜まってきたし俺のちゃんフォルダがどんどん増えてく幸せ〜!
「外暗くなっちゃったね。北さんに報告の連絡したら帰ろうか。」
『そうだね、私メールしておくよ』
「ありがと。」
本当は全然帰りたくないけどね。遅いとちゃんの親御さんが心配するかもしれないし。将来挨拶をするちゃんのご両親に今からいい男って印象付けておかないと。まあ会ったことは何度もあるけどご挨拶ってまた別物だし。