第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
北さんから貰ったメモの通りに必要なものをカゴに入れていく。もうすぐ暑くなるからスポドリの粉は少し多めに買うことにした。
『こんなもんかな?』
「そうだね。ちゃん他に寄りたいとこある?」
『うーん。あ、アイス食べたいな〜とか…?でも皆部活頑張ってるしさすがにダメか…』
「いいんじゃない?バレないよ」
『でも他のみんなに悪いよ』
アイス屋さんの前を通ったときに、視線が吸い寄せられていたのを俺はちゃんと見てた。俺らの地元にもあるお店だったから食べたくなっちゃったのかな、可愛いなって思ってたんだけど皆は部活頑張ってるから流石にって遠慮してるみたい。
「俺も食べたくなってきたし皆には内緒で食べようよ。ね?2人だけの秘密にすればいいでしょ?」
『ひみつ?』
「そう。2人だけの、俺たちだけの秘密にして食べよーよ」
『…うん、食べたい…っ』
「よし、いこ」
嬉しそうに笑顔を見せてくれるから俺も嬉しくなる。
『私チョコにしようかな〜でも抹茶も気になる』
「俺抹茶のつもりだったからシェアするよ。」
『ほんと!?じゃあチョコにしよーっと!』
アイスのショーケースの前でニコニコと楽しそうなちゃんは無邪気な子供みたいで本当に可愛らしい。
「お会計ご一緒ですか?」
「一緒でお願いします」
『あ、私細かいのないから先に出させてほしいっ』
「これくらい出させてよ」
『でも私が誘ったのに…』
「俺がカッコつけたいだけだから」
『…じゃあお言葉に甘えて。ありがとう角名くん』
店員さんから受け取ったアイスに目を輝かせている。スプーンで掬ったチョコレートアイスを自分ではなく俺へと差し出して
『最初の1口目は角名くんにあげる!』
なんて言うもんだから心臓ぎゅんぎゅん。
「じゃあ俺のはちゃんにあげる」
あーん、なんて少女漫画みたいな展開に鼓動が速まる。
『どう?美味しい?』
「めっちゃ美味い、次チョコにしよっかな。じゃあ俺のもどーぞ。」
『ありがとうっ』
「あーん、どう?」
『やっぱり抹茶おいしい〜!』
可愛いいいいい!あなた可愛いすぎる!!どうしよう幸せ!今日食べたアイスが人生で1番うまいです!