第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
買い出しの前にお土産を、と荷物をまとめた俺たちは1度体育館に戻って北さんに手渡す。治と侑と銀には別でお菓子を買ってきたからカバンに入れて付箋に俺たち2人からだって分かるように名前を書いておいた。
角名
ってね。
別に間違いじゃないし。
いつも自分のこと倫太郎とは書かないし。
「この前地元帰ったんで良かったら皆で食べてください」
『くださいっ』
「気遣わんでええのにありがとうな。終わったら配っておくわ。」
『はい、じゃあ行ってきます!』
「おん、よろしく頼むわ」
行ってきます、と北さんに手を振った彼女がハッとして急いでその手を下ろす。
『ごめんなさい…!先輩に手振っちゃった…』
「ははっそんなんええよ笑」
優しい顔。北さんは厳しいけどきっとこういうのは気にしない。例えば侑が北さんに手を振ったって怒りはしないだろうし、なんなら振り返してくれると思う。
『じゃあ…』
そう言ってもう一度手を振ったちゃんに北さんは手を振り返した。
「ほな気ぃつけてな。重いもんは無理せんと角名に持って貰い。わかったか?」
『はい…っ』
「さんがここら辺の道覚えるんにも丁度ええやろうし頼むで角名」
「はい、喜んで!!」
「…っここ居酒屋やったんかなぁ!!?」
聞こえてきた侑のツッコミを無視して俺たちは体育館をあとにした。
「無視すんなやボケ!!!」
『…侑くんなんか言ってる?』
「虫じゃない?俺は何も聞こえなかったよ」
『そっか。じゃあ気の所為かも??』
ちゃんと買い出しデート最高すぎるな。1年生ビックリしてたけど全然いい。全然気にならない。だってあそこで行くって言わなきゃ今頃他の男と並んで歩いてたんでしょ。考えるだけで寒気するんだけど。
『…くん、、すなくんっ』
「は、いっ!」
『あ、ごめんね驚かせて。ぼーっとしてたからどうしたのかなぁと。』
「ごめんね何でもないよ。何から買いに行こうか?」
『北さんにリスト貰ったよ!ちょっとまってね…』
スクールバックの外ポケットから1枚の紙を取り出す。
『スポドリの粉、テーピング、コールドスプレー、消毒、新しい氷嚢も必要だって。あと塩分チャージのタブレット!他は足りてるから大丈夫みたい。』
「おっけー」