第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「あっ」
「どしたん角名」
「制服届いたんだよね」
『うん、届いたよ?これ!』
そう言ってジャーン!と効果音が付きそうな見せ方をしてくれる。
「じゃあ…ジャージも届いちゃった?」
『うん!だから角名くんに借りてたやつは洗って持ってきたよ〜今まで貸してくれてありがとうね!』
「そ…うだよね。そりゃそうだ…制服だけ届くわけないよね。」
「あ、なるほどな笑 角名の役目終わってもうたんや笑」
俺のでっかいジャージ着てマネージャーしてくれてるちゃんまじで天使だったんだよ…俺のちゃんって感じがして優越感っていうか。なのになんで届いてんだよ!俺の役目剥奪すんな!
部活の時間が近づくにつれそわそわしてくる。ジャージ返されたくない…やだずっと俺の着ててよ…!
チャイム鳴ったら部活だ…
キーンコーンカーンコーン
あああああああああ!!!
『角名くん部活いこっ』
「うん…」
『どうしたの?具合悪い?』
「ううん…」
『ならいいんだけど…無理しちゃだめだよ?」
「うん…」
うわぁ、わぁ…袋2個もってる…。1つは俺の…もう1つは見たことないから多分ちゃんのジャージが入ってるやつ…。
部室の前まで来たところでちゃんが振り返って俺のジャージが入っている袋を差し出す。
『ずっと借りててごめんね、助かりましたありがとう!』
「ううん、いつでも貸すから俺からしか貸りないでお願い。」
『うん、分かったよ…?』
でもやだ…俺の着てほしい…っ
差し出されたジャージを受け取らずに突き返して、代わりにちゃんのジャージが入っているであろう袋を奪った。それから部室に入ってピシャリとすぐに扉を閉めた。
『えっ角名くん!?』
「俺の着て…ください!」
『私自分のジャージ届いた…よ?』
扉の向こうで不思議そうにそう言ってコンコンとノックをするちゃん。
「部活の時だけでいいから俺の着てお願い!」
『うーん…よく分からないけど部活始まっちゃうし一旦角名くんの着ます!』
パタパタと去っていく足音が聞こえて、女子更衣室へ行ったんだなと安心する。我ながらワガママなこと言ってる自覚はあるけどこれは譲れない…!!