第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「角名ぁ!どやったあ?告ったん?」
俺を見つけるなり質問攻めをする侑。
「そんなわけないでしょ別に何も無いよ」
「そうなん?あ、お土産買うてきてくれた!?」
「ちゃんが持ってるから部活のとき出すよ」
「っしゃあ!!」
侑の興味は思い出したと言わんばかりにお土産へと移って単細胞ってほんと…もはや才能だよね。
「角名おはようさん」
「おはよう治」
「なんかあったん?」
「なにも」
「進展とかちゃうくてなんか、嫌なことでもあったん?」
「あ、え…」
「浮かない顔しとるから。ツムはアホやから気付かへんと思うけどな。」
治になら、と帰省中の出来事を話した。彼女にとってナイーブな内容でもあるから絶対に口外しないでって口止めをして全部を話し切ると治は不快感に顔を歪めていた。
「その男頭湧いとんちゃうの」
「多分ね。」
「ちゃんは本当にそんな男のことが好きなん?」
「分かんない。でもそいつといる時のちゃんはなんか緊張したみたいに強ばって見えた。」
「ふーん。ほな角名にもチャンスあるやん。チャンスてか奪い取ったれよ。そんな男ろくでもないやろ。」
「俺もそのつもり。」
協力すると言ってくれた治が席を立つと御手洗に行っていたちゃんが戻ってきた。
「角名と話すんに席借りたでちゃん」
『はーい!』
「お!制服届いたんや!ええやん!」
『そうなのー!昨日届いたんだ!』
「セーラーも可愛かったけどブレザーも超可愛いよね」
『角名くん朝からそればっかりだ笑 でも嬉しい!』
「そか、角名は朝待ち合わせしとるから先に見てたんやね」
「うん、まさか制服届いてると思わなかったから驚いたけど可愛すぎて息できなかった」
『相変わらず角名くんは褒め上手だなぁ〜』
待ち合わせからこのサプライズは俺得すぎて鼻血出るかと思った。さすがに可愛すぎた。だって俺より早く外で待ってると思ったら 『角名くんみて!制服届いたの!早く見て欲しくていつもより早くおうち出ちゃった〜』って言われたんだよ?これ天然でやってんだからたまったもんじゃないよ。