第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
彼氏がいるって知ってもちゃんへの想いは消えるどころかむしろ大きくなる。俺の方がずっと好きなのにって。ずっとずっと前から好きだった。顔も名前も知らないけどその"部長"さん?より絶対俺の方が幸せにできる。悲しませたりしない。
「角名さんとさんお似合いだと思います。本当に。」
「そう、かな。彼女はきっとそう思ってないっていうか…全然意識されてないんだよね俺。」
なのにマイナス思考になっちゃうのは何でだろう。全く自信がないわけじゃないのに…彼女の警戒のなさとかがその自信を否定してくるみたいな感覚。
「角名さんのこと意識しない女子っています?」
「全然いるでしょ。ちゃんなんか特にね。一緒に夜行バスで帰ってきたんだけど速攻寝てたし…。」
「それは疲れてただけっすよきっと…だって最初お会いした時は先輩たち付き合ってるんだろうなって思ってましたよ俺ら!」
「仮入部んとき?」
「です!先輩たちが2年で俺ら1年で。丁度3年前くらいですかね?」
「そう見えてたんだ…ちなみになんで?」
「だってあんなにいる中で角名さんだけ名前呼びだったし、距離感とか、あと遠征のバスの席とかいつも隣だったし!」
「うーん…でも今はなぜか苗字呼びだし、距離感とかはきっと俺だけクラス一緒だったからかな。遠征のバスは俺が隣死守してただけね。」
『角名くん見てー!!』
「ほら、もう名前で呼んでくれないんだよね。」
「…角名さん」
「なあにちゃん、上手に焼けたの?」
『うん見て見て!綺麗にひっくり返ったよ!』
「ほんとだ上手だね、めちゃくちゃ美味しそうじゃん」
俺に見て見て、と笑顔で自分の焼いたお好み焼きを見せてくれる彼女に胸がきゅうっと締め付けられる。この笑顔が俺だけのものならどんなにいいかって…そんなことばっか考えてる。
『角名くん元気ない…?』
「え」
『あ…っもしかして角名くんもお好み焼きひっくり返したかった!?気がつけなくてごめんね…っ』
「いやそれは別に…」
「っはは、さんて天然ですよね笑」
『えっ私!?そうかな??』
「角名さん応援してますよ」
「うん、ありがとね」