第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「あー!角名たち来た!」
俺たち以外誰もいない屋上。ギギギ、と音を立てて開いた扉に振り返った侑が手を振る。
『ごめんねお待たせ』
「ぜーんぜんやで」
いやもう食べてるじゃん
「角名が手に持ってるんは何?」
「でっかいゴミ袋。教室にあったのパクってきた。」
「何に使うん」
「ちゃん地べたに座らせられないでしょ。」
俺らは男だからいいけどね。
「角名が女の子に気回してるん初めて見るんやけど。ちゃん相手やと別人やな。」
「ギンほんっと黙って」
「ごめんやで」
マジでこいつが1番害悪なんだけど!?
悪気ないのが1番やばいだろ許せない!
『角名くんはいつも優しいね。ありがと!』
「いやそんなん全然…あ、ここ座ってね。ゴミ袋だけど新しいやつだから大丈夫だよ。」
『じゃあお言葉に甘えて…』
ちゃっかりその隣に腰を下ろして俺も弁当を食べ始めた。
「ちゃん弁当箱ちっさいなあ!足りるん?」
『全然足りるよ〜』
俺らの手元にあるものとはまるで違うサイズ感。体も小さくて食べる量もこんなに少なくて、簡単に壊れてしまいそうだ。
『治くんはお弁当とおにぎり?』
「おん、これだけじゃ足りひんからおにぎりも付けてもろてる。」
『朝も食べてなかった?』
「せやな。我慢できんくて食べてもうたねん」
『なる…ほど』
ちゃん引いてるよ…。
いやまあ治の弁当の量は俺もびびるけど。
『あ、え、角名くんそのジュースどこに売ってたの!』
今まさに口をつけたパックジュースを見て目を輝かせる彼女。美味しそうだったし期間限定って書いてあったから買っただけだけど。
「家の前のコンビニだよ。朝少し時間あっから行った。」
『ええ!昨日の夜行った時は無かったのにー!』
「…の、む?」
『いいの!?』
差し出したジュースのストローに口をつけて嬉しそうな彼女。関節キスやっっば。でも意識してるの俺だけなんだよなあ。
『美味しい…!ありがとう角名くんっ』
「帰りコンビニ寄ってみる?」
『うん!あるといいなぁ〜』
はい、今日も一緒に帰る約束これにて完了。
部活があるからどこかに出かけたりってあんまりできないけど、同じ部活なら帰りも一緒だしちょっと放課後デートみたい。コンビニ行くだけだけど。