第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「俺のストーリーにちゃんあげてもええ?」
そう言って返事も待たずスマホを俺らに向け動画を回し始める侑。
「メンションしとくな!」
『あ、うんっ』
あがったストーリーを確認すると俺と治とその間を歩くちゃんの3人が映った短い動画。ちゃっかり画面録画した。
"朝から遭遇!"
なんて書かれてて、それなら俺は毎日一緒に登校って載せたくなっちゃう。
「なあ、今日皆で昼飯食おや!」
「俺は別にええよギンにも声かけといてや」
「角名とちゃんは?」
『もちろん!』
「俺も大丈夫」
「ほんなら決まり!屋上で食べよな!」
楽しみだね、と笑うちゃん。ナイス侑。たまにはいい仕事するじゃん。
いつもは眠い授業もちゃんが来てからは覚醒してる。隣にいるのに寝てなんかいられない。横顔かわいい。授業聞いてるの可愛い。
「サムー!!角名ァー!!ちゃーん!!昼飯行くでえ!」
バン!と勢いよく開かれた扉から現れた侑。呆れ顔のギンと一緒に登場。
侑が急かせるからバタバタと支度をするちゃん。
「ちゃん急がなくていいよ。治先行ってて。俺ちゃんとあとから行く。」
「りょーかい。ほんならツム先に場所取り行こや」
「角名とちゃんもはよ来てな!」
『うんっ』
屋上で食べてるやつなんてそんなにいないのに何を急いでんだろ。まあ皆でご飯っていうワクワクがきっと大きいんだろうけど。幼稚園児みたいだな。
『ごめんね角名くん…っ』
「え、なんで」
『私のせいで行くの遅くなっちゃってる…』
「全然気にしなくていいでしょ。侑がテンション上がって勝手に突っ走ってるだけだから。」
『でも…』
「まじで気にしないで。ゆっくりでいいから。俺も急ぐの好きじゃないからありがたいくらい。」
『角名くんはやっぱり優しいね』
「そんなことないよ」
そんなことない。だって優しくしようと思ってしてるわけじゃないし。言っちゃえば下心みたいなもん。いつになったら気づいてくれるかな。