第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「あの、俺らバスケ部やねんけどさ」
『あ、うん…っ』
俺らをかき分けて彼女の隣を歩き出すバスケ部のやつら。集団で来るんじゃねえ…ちゃんが怖がるだろ!
「こいつが君に一目惚れしたんやって。連絡先交換してやってくれへんかな?」
『あ、えと…っ』
は!?俺だって交換してないんですけど!
しかも友達に言わせるとかナイでしょ。
「…自分で言えないようなやつにちゃんの連絡先なんて渡せない。絶対だめ。行くよちゃん。」
『え、角名くん…っ?』
「え、は…?お前ちゃうくてちゃんに頼んでるんやけど!」
「…っ気安くちゃんの名前を呼ぶな。」
「うちの可愛いマネに手出したあかんちゅーことやわ。ごめんやで!」
彼氏でもないただのクラスメイト。プレイヤーとマネージャー。だけどいてもたってもいられなかった。気づいたら彼女とバスケ部のやつの間に立ってたし、腕を引いて歩いてた。
『す、角名くん…どうしたのっ?』
「あ…いや、ごめん…っ」
「角名やるやーん!きゅんとしたわあ!」
『あの人たち置いてきちゃったね』
「置いてきてなんぼやろ。同学年やしバスケ部やから体育館使うやろし会うこと多いかもしらんけど、変な絡まれ方したら俺らに言うんやで。大切なマネージャーや。俺らが守ったる!」
なんで侑が張り切ってんだよ。
「にしても角名がバレー以外で感情的になるんは珍しいやんな。」
「別に感情的には…」
「なってたやろ。ちゃんがおると知らん角名見られておもろいわ。」
「あとでギンにも教えたらな!!」
はあ…最悪。双子に見られたら一瞬で広まるじゃん。特に侑。歩くスピーカーすぎるホントに最悪…。
『あの、ありがと角名くん』
「あ、いや腕とか引っ張ってごめん、ね。」
『ううん、中学生のときもこんなことあったなあって少し懐かしい気持ちになった。いつもありがとう、です!』
「あの、侑が言ってた通り…なんかあったら俺たちのこと頼ってね。」
『ふふ、うんっ』
ダメだ、可愛い。
天使?天使なのか?
前々から思ってたけどちゃんて人と話す時めっちゃ目見るんだよね。それだけでこっちは心臓バクバクなんだよ勘弁してほんと…。