第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
『北さんてすごくしっかりしてるし皆のことよく見てるし天気まで教えてくれるなんて良い先輩だね』
「ちゃんはあの人の正論パンチ受けたことないからそんな事が言えんねんで…ほんま怖いねんあの人…!いや、ええ先輩なんは間違いないんやけどな!?」
『角名くんは怒られたことあるの?』
ガタガタと震える侑から俺へと視線を向ける。
「うん?そんなんしょっちゅうだよ。北さんに怒られたことない人いないと思う。サボるとか手抜きとかテストもだけどちゃんとやる人だからね。俺らみたいな人種はしょっちゅう正論パンチ食らってるよ。」
俺はランニング中、常に近道を探してる。
たまたま早い電車に乗れて早く練習に着いても既に北さんは到着してて準備も終えてる。ミスター隙なし。
『ははっ、角名くんは勝ちが見えるとサボりがちだったもんね〜今も変わらずかなぁ』
「う…まあ、まあ…ね。」
「なーにがまあ、やねん!勝ちが見えたら急にサボるやん!もう終わりやろみたいな雰囲気出すやん!?」
「うるさい侑。」
『変わってなくて私はなんだか嬉しいけどね』
かっこ悪いところ覚えられててなんか複雑だけど忘れられてなかっただけいいか…?
そんなことよりさっきからコソコソうしろ歩いてるヤツらなに。見たことある顔…同じ学年?
「自分らさっきからめっちゃこっち見とるけど何か用あるん?」
おー侑よく言った。
「あ、いや…っあー…その。一緒におる子って転校生の子やんな?」
「そやけどちゃんになんか用?」
『…わたし?』
侑も治も俺のことも通り過ぎてそいつらの目線はちゃんに向いてた。こいつらたしかバスケ部だっけ。体育館で何回か練習被ったことあったわ。
「仲良くなれへんかな…って。」
は?
「そんならコソコソせんと普通に話しかけえや怪しいで」
「せ、せやんな…すまん恥ずかしんやけどほんまドンピシャタイプやってん緊張して…」
え、は、困るんだけどそんなの。
いや良く考えればちゃんのこと好きになっちゃうのは…てかこれって中学の時と一緒なんだけど。前も試合相手の学校とか先輩後輩同級生問わず声掛けられてて部員総出でSPみたいに張り付いてたっけ。懐かし。またかよ…。