第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「ちゃん今日も角名の着てるん?」
『うん、まだ届かなくて…』
「角名のが飽きたら俺も貸したるからいつでも言ってや!」
「あつむ」
「な、なに角名…?顔こわいで」
俺の目の前で堂々とナンパするなよ。
顔だけはいいんだからホントやめて。
『ありがとう侑くん!優しいね!』
「ちゃん騙されないで」
『え?』
「双子の良くない方だからこいつ。」
「角名ぁ!なんでそんなこと言うねん!?」
「ちゃんにちょっかい出すな!」
「おっまえ昨日一緒に帰れたん誰のおかげやと思っとるん!?」
「それとこれとは違う」
〜♪
『あ、ごめんね私だ』
ちゃんのスマホが鳴って侑との言い合いは自然に終わった。なんかすごい胸騒ぎ…なんだろこれ。
『もしもし、どうしたの?』
相手の声は聞こえない。
『あー、うん行くよ。』
どこに行くんだろ。気づけば俺も侑も彼女の電話に耳を傾けていた。
『自分の家泊まるから平気だよ。――ううん、自分の家に泊まる…ごめんね。――うん、またね。』
泊まり?自分の家?愛知に里帰りかな…?
「ちゃんどっか行くん?」
『あ、うん地元の集まりだよ』
「へえ、角名は行かへんの?」
「いや俺が行くのは意味わかんないでしょ。」
ちゃんと2人きりで愛知まで帰るのは大分魅力的だけどさ…。地元の集まりって言ったって俺あんまりそういうの参加して来なかったし気まずいでしょ。
『角名くんも一緒に行く?」
「え」
『無理にとは言わないけど…』
「行く」
「ちょろ」
「うるさい侑」
ちゃんが誘ってくれるなら話は別でしょ。