第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
見計らったようなタイミングで部室のドアを開けたのは紛れもなく張本人。
お!ま!え!だよ!
歩くスピーカーかよ!
「バレー部にしか言うてへんでぇ?」
「他のやつに言ったら今まで隠してあげてた悪行ぜんっぶ北さんに言うからな!」
「っな!それはずるいやんかあ!」
「なにがずるいん?」
「…っは!北さん!お疲れ様です!今日も1日頑張ります!よろしくお願い致します!」
「なんや早口で出ていきよって…元気やな」
明日学校きてクラスに広まってたらまじで北さん召喚するからな…覚えとけよ侑…。
「あ、そうや角名…さんが探しとったで。多分部室おるから着替えたら出てくるんとちゃうかって伝えといたわ」
「わかりました、ありがとうございます」
ちゃんが俺を?さっきまで一緒に教室いたんだけどな。
「ちゃん?俺の事探してたって北さんから聞いたんだけど」
『あ、角名くんっ』
「うん?」
あれ、なんでまだ制服なんだろ
『ジャージがまだ届いてなくて…今月中には貰えるみたいなんだけど今日も借りていいかな…?』
「え…っ?」
ダメなんて言わないでしょ。
わざわざ確認とってくるの可愛いんだけど。
『さっき聞き忘れちゃって…嫌だったら他の人に聞いてみるから…!』
「あ、違くて…そんなこと?別に聞かなくていいよ。昨日のまま持ってる?家に置いてきたなら俺スペア持ってるけど」
『持ってきてる!洗ってきたのにまた借りてしまう…ごめん角名くん…』
「いやいいって、むしろ…」
『え?』
「とにかくいいから!使って!」
『ありがとう…っ!』
「あと、他の人には絶対借りないで」
『えと、うん…わかった?』
ちゃんが他の男のジャージ着るとか考えただけでしんど。これが独占欲ってやつかね。