第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
ちゃんて朝何時に出てるんだろ。満員電車で潰されてたらどうしよ。そもそもまた迷ってたら…?こんなことなら朝一緒にいこうって誘えばよかった。
ぐるぐると頭の中を埋め尽くすのはちゃんのこと。
『あれ、角名くんもこの時間の電車?』
電車を待っていると後ろから声がかかる。この声は紛れもなく…。
「おはようちゃん。うん、朝練ない日はこの時間。」
平常心…ポーカーフェイス。
『そっか!あ、あの…学校まで一緒にいってもいいかな?駅からの道まだ覚えられてなくて…』
「もちろん、なんなら毎朝一緒でも」
『ほんとに?角名くんはやっぱり優しいねえ』
誰にでもじゃないよ、なんて言いえたらいいのに照れくさくて言えなかった。
「満員電車だけど大丈夫?1本ずらす?」
『ううん、大丈夫だよありがとう』
毎度おしくらまんじゅうのごとくギュウギュウの電車。それは今日も例外ではなくて彼女の華奢な体と隙間なく押し込められる。
「…ご、ごめん。平気?」
『う、うん…っ』
ラッキーだけど、だけど…これはさすがに…。おっさん共すげぇ見てるし。
「ちゃん少しこっち来れる?」