第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
ちゃんとはわりと仲のいい方だったと思う。同じクラスだったのもあってバレー部で唯一下の名前呼びだったし。今は何故か苗字で呼ばれてるけど。まじなんでだよー。ちゃんからの名前呼び好きだったのにな。
「家ここで合ってる?」
『あってる!わーっ角名くんがいて良かった!』
「俺の家あれね。1階の1番端っこ。何かあればいつでもどーぞ」
『実はすこーし心細かったからすごく助かる!ありがとう角名くん!』
治たちさえ知らない俺の家。入り浸られても嫌だし、泊まりなんて来られたら散らかりそうで嫌。片付けるのめんどくさいから散らかさないがモットー。部活以外でエネルギー消費は避けたい。
誰も知らない俺の家をちゃんにはむしろ知って欲しかった。訪ねてきてくれたりなんかしたら願ったり叶ったり。
『じゃあまた明日ね角名くん』
「うん、また明日」
柄になく跳ねる心。
どうしよう。
ちゃんが稲荷崎にいる。
これって現実だよね。
あーメアド交換しとけば良かった。
明日聞こう。聞けるかな。