第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
「さん」
『あ、はい…っ』
部活が終わるなりちゃんは北さんに呼ばれてしまった。休憩時間は2年ズに囲まれてたし。またあんまり話せなかった。
「角名帰らへんの?」
「帰るけど…」
「ちゃん待ち?」
「んーまあ」
「え、ほんまに惚れてるん?」
「…」
驚いたような銀の表情。
「まじかあ」
「なに」
「いーや?角名は告白とかバッサバサ切っとるから女の子に興味無いんとちゃうかな思っててん。」
「え、あれちゃうん。角名が中学んときから好きな子ぉやろ?」
え、誰にもいったことないんだけど。なんで治が知ってるの。
「前角名に告白してた女子から聞いたで。振られた言うて泣いとったから話聞いてあげてん。そしたら中学から好きな子おるからごめん言われた言うてたで。」
「そんなん断る口実ちゃうん?」
言ったかもしれない。しつこい子がいたからつい…治に話してるとか思わないでしょ。
「それ本人に言わないでよね」
「ほなガチやん」
「ガチだからまだ言わないで。」
「え、あの子が稲荷崎来ること知ってたん?」
「いや知らなかったから今朝めちゃくちゃビックリした。」
心臓に悪いよほんとに。
なんのドッキリかと思った。
初恋の人がある日突然転校してきたらドッキリ。