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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第1章 好きです先生 (松野千冬)


ワカくん…か。

元黒龍 初代特攻隊長で創設メンバー。
現 梵の大幹部

黒龍創設以前は東関東を仕切る12のチームが集まってできた「煌道連合」を率いる総大将で「白豹」の異名で恐れられてたらしい。

韋駄天のワカ…今牛若狭。

見た目も綺麗で容姿端麗ってやつ。
ちゃんと2人で並ぶとそこだけ世界が違うみたいに輝いてた。絵になる2人だった。ワカくんの隣で笑うちゃんはいつも幸せそうで俺なんかが入る隙なんてなかった。別れるなんて…ありえねえのに。なにか訳があるに違いない…他に好きな女とか…適当な理由作って離れて。デカい抗争でも起こるのかな。巻き込まないために…。

だとしてもちゃんがこんなに泣いてる。傷ついてる。ワカくんの代わりでも穴埋めでも構わないから俺がそばにいてあげたい。

『千冬…くんっ。辛いよ…っうう。』

「うん…つらいな。よしよし。
俺なら…泣かせねえのに…。」

『…え?』

「俺ならちゃんのこと泣かせたり傷つけたりしねえ。だからさ…俺のもんになってよ…ちゃん…っ」

人生で初めての告白が元彼の名前を呼びながら泣いてるちゃんを上裸で抱きしめながらだなんて思ってもみなかったけど…。

『で…でも千冬くん…失恋したばっかって。』

「うん、したばっかってか…ずっとしてる。
ちゃんワカくんしか見てねぇんだもん」

『え…?千冬くん…?』

「俺ずっと…昔からずっと…。
ちゃんのこと好きだった。
今振られても多分諦めらんねえ。」

『全然…気づかなかったよ…。
ごめ…っ』

「謝んないで…?」

謝ろうとしたちゃんの言葉を遮る。

『ん…うん。』

「…あー…えっと。返事…。
いつでもいいから。」

少しの沈黙の後にちゃんが口を開く。

『…千冬くんとは付き合えないよ。
私きっと千冬くんのこと傷つけちゃう。
ワカくんのこと忘れられてない…。』

ギュッと心臓を掴まれる感覚…痛い。

振られるって分かってたのに…。

「別に…別にいい。」

『え…?』

「ちゃんになら傷つけられてもいい。ワカくんの代わりでもなんでもいい。俺でワカくんのこと忘れてよ。利用していいから…っ」

困らせたくないのに…。
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