第2章 デビュッタント
王様が入場し、パーティーの開始の合図と同時にオーケストラががワルツを奏でる。
今日主役であるデビューする少女が中心に集まる。
みな緊張と着飾った美しいドレスに胸を躍らせている。
その中で一際輝いているのはやはりあの少女だ。
くるくると軽やかに踊る彼女に誰もが目を奪われる。
そんな様子をアリシアも遠目で眺める。
「アリシア嬢!」
イザークが急足で向かってくる。
「すみません、デビューなのに、、。俺たちもいきましょう。」
いつもとは違う、少し強い力に驚き思わず手をひく。
「あ、すみません。」
イザークも少し強引手を引いてしまったと反省する。
「いえ、、、」
何事もないように手を取る。
「さ、」
イザークにエスコートされ、注目の的であった美少女と並ぶ。
目が合うとその美少女は天使のように微笑んだ。
周りの男性達がその笑顔に見惚れる。
無論イザークも。
ただの婚約者だ。
情が湧いたわけではないのにどうしてざわつくのだろう。
オーケストラの指揮者が再び指揮棒を動かす。
イザークはアリシアの腰に手を回し引き寄せる。
彼女の体がこわばるのを感じた。
ラクス・クラインも美少女だがアリシアも目を引く容姿である。
そこだけ物語の一ページのように美しい。
イザークと踊るのは初めてだ。
練習はもちろんしていたのだが、リードが上手くいつもより踊りやすい。
目が合えば微笑んでくれる。
理想の婚約者だ。
心を開いってしまったら、好きになってしまったら。
どうしたらいいのだろう。
きっと縋ってしまう。
イザークだけが全てになってしまうだろう。
だから、彼に興味を持たないようにしているのに。
今日、ラクス・クラインを見つめるその横顔に嫉妬してしまった。
なんて、自分の身勝手さに嫌気がさす。
「これで大人の仲間入りですね。」
抱き寄せられ、彼の唇が優しく、一瞬重ねられる。
驚き思わず目を開く。