第2章 気付けば廃墟の中で
「戯れ言を……」
伏兵でもいたのだろうか。
未だ姿が現れない恭弥が来るまで、それまでは時間を稼がなければ。
だがしかし、
「なかなか良い腕をしている」
「!!しまっ…!」
「殺すには惜しい」
「ぐっ……あああああッ!!」
一瞬の隙を付かれ、片方の刀を弾き飛ばされる。
その衝撃でヒロは背中から壁に激突し、ぶつかった衝撃でヒロはわずかに反応が遅れ、両腕を掴みとられる。
かと思うと、次の瞬間には掴みとられた手が、自らの二本の刀によって壁に突き刺されていた。
「あっ…ぁ……」
「…良い声で鳴くじゃないか」
手のひらから腕、肩に伝っていく血を舐めながら、楽しそうにヒロを見るシキ。
離されることはない赤い瞳に、初めて背筋が凍りつく感覚を覚えた。
そして視界の端に一瞬恭弥が映ったのを最後に、ヒロは意識を手放した。