第6章 はじめまして?
試験会場から半ば無理矢理連れ出されたかと思うと、どこかへ向かうシキの後を歩かされていた。
勿論武器は奪われたが、その気になれば今すぐ背後から襲うことも出来る。
だがそうしないのは結局圧倒的不利に変わりない状況と、何より綱吉の命令に反しているため、ヒロはおとなしく言われるがままに着いていった。
「………」
着いた先は大きなドアの前。
どうやらシキの自室のようだ。
扉の左右に兵士が一人ずつ、推測した部屋の位置からしてもあながち間違いではないだろう。
「入れ」
シキに促されて抵抗することもなく扉に手を掛ける。
一瞬兵士達の異様な視線が気になったが、それ以上は特に無かったのでそのまま扉を開けた。
「っ!!?」
開けた瞬間、突然何かが目の前を遮った。
だが同時に頬に付いた生暖かい液体と目前に広がる光景で、それは血なんだということがわかった。
「これ、は……」
足元にあるのは男の生首。
少し離れたところに切り離された胴体。
そしてその先にいる、一人の青年の姿。
下に転がっている男のものと思われる返り血を浴び、その白い肢体はどこか妖艶な雰囲気を醸し出している。