第1章 始まりは突然に
夢の中で千栞はあの綺麗な枯山水の上を走り回っていた。
砂で山を作ったり、駆け回ったり…
縁側の方を見るとあの男の人が正座をして座っていた。
そして千栞に言った
「千栞、長い時間日光に当たってはいけないよ」
『どうして?』
「肌が焼けてしまうよ」
『私、肌が焼けてもいいわ
色白なんて嫌よ、病人みたいだもの。
女の子は小麦肌が可愛いの』
男の人は困ったねぇ、と言いながら私の遊ぶ姿を見ていた。
「けど千栞、この前そんなことを言って
肌を火傷してしまったじゃないか。」
『火傷…?』
「そう。母上が床に伏せた千栞を悲しそうに見ていた」
母上…?お母さんが…?
『私がそんな火傷をしたの?どうして?』
「いつも言っているだろう?千栞の体は普通の人間とは違うんだ。
肌が人一倍弱いんだよ」
男の人はほら、早くこちらへおいで、と催促している。
私はトタトタと駆けつけ男の人に聞いた
『貴方にとって私は何?』
「私にとって千栞は大切な 家族 だよ」
家族_____?
ピピ、ピピピ_____
『ん…』
アラーム音と共に目を開け夢の中の出来事を確認する。
私は庭で遊んでいた。今でも砂利の感触が手に生々しく残っている。
それに前あった時は男の人の顔が見えなかったが、今度は鼻先まで見えた。
後ちょっとだ、後ちょっとなんだ。
私は彼の顔が見れることにドキドキしていた。
彼は誰なんだろう、知っている人なのかもしれない
時刻を見ると午前5時半。
起きるのにはまだ早すぎる時間だ
(もう一回寝るか)
私は再びベットに横になり目を閉じた
_____さん、千栞さん。
『はいっ!』
目の前には先程私が遊んでいた枯山水の庭が広がっていた
名前を呼ばれた先を見ると白樺の木の精みたいな美しい女性が立っていた。
「千栞さん、耀哉様が呼んでおられます。」
耀哉さん…?
『失礼ですが、どなたですか…?』
ドキドキしながら女性に聞く。
すると女性は変わらぬ顔で
「あまねです。あまりお巫山戯も程々になさってください。さぁ、耀哉様の所へ」
白樺の木の精の方はあまねさん、と言うらしい。
状況を整理しようとするが好奇心が勝ってしまい、
千栞はその人について行くことにした。