第2章 目覚めた先で見た世界
結莉乃
(触れてるし…暖かい…これって、どういう事…?)
支えてくれている腕や触れる身体は暖かく、現実だと思わずにはいられなかった。
立派過ぎる屋敷へと訪れる前に通ってきた町には、ビル程の建物も無く車も通っていないし、何よりすれ違う人達の服装が違い…どう考えても現代ではなく昔の風景だった。
そんな中に見慣れないワンピースを着た結莉乃が歩いている方が異質で…それも、鬼王が共にいる為人々はちらちらと彼女を見ていた
結莉乃
「………」
今は目の前に胤晴が座り、その両側に凪と眞秀が座ったまま正座をしている結莉乃へ視線を向けている。
胤晴の圧を感じる瞳に結莉乃は息が止まりそうだった
しんっと静かな空間に低い声が響く
胤晴
「何故、眞秀の名を知っている?」
結莉乃
「それ、は…」
ゲームをやっていたから、なんて言った所で理解はされない。まず、ゲームとは何かを説明する所から始まるが…その説明だって結莉乃には上手く出来る自信がなかった。
結莉乃
(何て説明したら…でも、そうだよね…彼等からしたら見慣れない格好をした女が仲間の名前を知ってるって事だもん。そりゃ怪しむよ…)
ぐるぐると考えていた結莉乃だったが、静かに息を吐き出してゆっくりと視線を上げる
結莉乃
「私は…此処とは違う世界から来てしまったみたいで…その、私が元いた世界で…し、書物に載っているんです皆さんの事」
かなり苦しいものだが信じてもらえるだろうか、恐らく怪しまれる…そう分かっているものの彼女自身も上手い言葉が出て来なかった
胤晴
「書物に俺達が…?にわかには信じ難い話だな」
凪
「ですが、王。彼女の格好を我々は知りません。…異世界があるのも本当なのでは」
信用出来る側近からの言葉に胤晴は顎に手を添えたまま、小さく頷く。それから彼女へ紅い瞳を向け