第2章 目覚めた先で見た世界
理解し解決出来た訳では無い状況ではあるものの元々どこか楽観的に物事を考えてしまう癖があり、好きなゲームの推しである眞秀と触れてしまった事に今更、喜びが沸きあがる。
その後、世話役だという女中に着替えさせてもらい用意された布団へと身体を横たえ目を瞑るも一向に眠れない結莉乃は、寝る事を諦めて縁側へ出た。
結莉乃
「あ…」
月が綺麗に出ており暫く縁側へ腰を下ろして眺める事にした。
冷たい夜風が彼女の頬を撫でるとその冷たさに軽く手を擦る。そうしながらも月を見上げていると、不意に肩に何かが掛けられ…ちらりと確認すると羽織りだった。
眞秀
「身体、冷えちまうぞ」
同時に降ってきた声に視線を羽織から移す
結莉乃
「眞秀く……さん」
眞秀
「ははっ…くん、で構わねぇよ」
少しだけつり上がっている目尻を垂らして眞秀は結莉乃へ笑みを向ける。画面越しに見ていた笑顔が目の前に広がり、その破壊力に結莉乃の心臓は止まりそうな程に震える。
夕陽を閉じ込めた様な瞳を彼女から外しつつも隣に腰掛ける眞秀を見ると、結莉乃は何とか気持ちを落ち着けようと静かに息を吐き出す
眞秀
「寝れないのか?」
結莉乃
「ん…どこでも寝られると思ってたんですけど」
眞秀
「まぁ…いきなり知らない所で知らない奴等と生活するってなって寝られるわけないよな」
画面の中で主人公を気遣う様な言葉を掛けている彼の言葉が今は自分へ向けられていると思うと、それが結莉乃は何故か泣きそうな程に嬉しかった。
得体の知れない存在が突然、現れたから仕方が無いとは思いつつも胤晴や凪の突き放す様な空気に…自分でも気付かぬうちに不安になっていたんだと、眞秀の優しさに触れて知り…その不安が少し和らいだ様に感じた
答えずにいる結莉乃にも嫌な顔をせずに、また柔らかい笑みを眞秀は浮かべ