第11章 二度目の新婚旅行、の巻
「うそ…そっくりだわ…」
「え?な…だ、誰に??」
「…今話してた彼にです…」
「えぇっ?!そうなんですか!!」
彼女は考え深そうに顎に手を当てると暫く黙りこんでいた
それから意を決した様に顔を上げると言った
「…悪い噂を聞いたんです」
「噂?」
「ええ…領の恋人が、彼が亡くなってから気が触れてしまって、領の事を探し回っているって言う…」
「Σえぇっ!!」
そりゃぁ…
「しかも、もう何人か領に似た日本人を屋敷に連れ込んで監禁してるとか…そんな噂があって…」
「な、な、なんで警察に届けないんですかっ?!」
「確証が無いので…何しろ、相手は一応由緒ある伯爵家ですから」
「そんなっ!もしかしたら智くんもそいつに!!」
そうと解ったら…
「そ、その伯爵家の場所は知ってるんですか?!」
「ええ、おおよそは…ここからタクシーで1時間位だと思います」
「お、教えて下さいっ!!!」
俺は彼女からその伯爵家の名前とおおよその住所を聞くと、急いでタクシーを捕まえてその場所に向かった
(待っててね、智くん!!)
「今行くよぉーーーーっ!!!」
「……Crazy」
「……(汗)」
タクシーの運ちゃんに白い目で見られたので、俺は伯爵家に到着するまで大人しく智くんの無事を祈っていた