第11章 二度目の新婚旅行、の巻
愛しい愛しい智くんが居なくなってしまった翌日
俺は、智くんとはぐれた公園に来ていた
「ぶぇっくしょおぅぃっ!!」
まだ薄暗さの残る公園を、智くんの写真片手に歩く俺
(流石に北欧の早朝は冷えるなぁ)
俺は震える手でポケットからティッシュを取り出して鼻を拭いた
「……智くん」
何時もはこんな時、智くんがふにゃんと笑いながら鼻を拭いてくれるんだ
『もぅ、翔くんったら』
智くんの可愛い笑顔と、優しい声が浮かんで消える
「……しゃとち…ずずっ///」
寒さの余り、拭いては垂れる鼻水に辟易としながら公園の遊歩道へ向かう
昨日智くんとはぐれてしまった辺りまで行くと、人影が見えた
その人は小道の片隅にしゃがんで、手を合わせている
良く見ると道の端に小さな花束が添えられていて、それに向かって手を合わせているようだった
俺はその、しゃがみ込んで手を合わせる東洋人の女の人に声をかけた
「すいません…あ、じゃなかった、Excuseme…」
「はい?」
思いもかけずに、日本語の返答
「あ、日本人の方ですか?」
「ええ、何か?」
「いえ…ちょっと人を探しているんですけど…何をされて居たんですか?」
「…ここで、友人が自殺して亡くなったんです」
「えっ…」
彼女は立ち上がると深い溜め息を付いた