第11章 二度目の新婚旅行、の巻
「随分探したんだよ?
リョウ…さあ、おいで?」
「何度言えば解るの?
僕はリョウさんじゃない…貴方の恋人は、亡くなったんだ」
「そうさ、知っているよ?だから、地獄から蘇って…」
「そんな事は有り得ない!」
僕は怯えるアリスを背中に庇いながら、僕にしては有り得ない位の大声を出した
「…リョウ?」
「死んだ者は蘇ったりなんかしない!
どんなに望んでも、幾ら逢いたいと願っても、もう二度と逢えないんだ!!」
「Noーーーッ!!!」
頭を抱えて叫ぶ彼
僕はその体を抱きしめた
「もっと良く見て!僕をちゃんと見て!!
僕は貴方の恋人のリョウじゃない!!」
「Stop!!Stop meーー!!!」
「見るんだ!!!」
彼の顔を両手で挟んで正面に見据える
「No…No…」
「…僕もね、大切な人を亡くした事があるよ」
「……」
「それこそ神様に毎日お願いしたんだ…お願い、還してって…」
僕はもう一度彼を抱きしめた
「…でも、戻っては来なかったよ…でもね」
「…でも?」
彼を抱きしめたまま、優しく諭す様に囁く
「…でもきっと…神様って、いると思うの」