第11章 二度目の新婚旅行、の巻
流石にぐっすりとは言えないけど、アリスの部屋のソファーの上で僕は仮眠を取った
目が覚めて時計を見ると、7時をちょっと過ぎたくらい
でも、窓の外はまだ日が昇らないのか、薄暗いままだった
「…随分暗いな」
曇ったガラスを手で掃けて、外を見る
「…翔くん、おはよう…ちゃんと寝れた?」
(きっと翔くんの事だから、心配し過ぎて眠れなかったんじゃないかな…)
寝不足で腫れぼったい翔くんの顔が浮かんできて、また胸がズキズキ痛む
「…心配かけてごめんね…翔くん…」
窓ガラスにオデコを付ける
「…サトシ、オハヨウ」
暫く窓に凭れていたら、アリスの声がした
「あ、おはよう、アリス」
「ドウシタ、デスカ?グアイ、ワルイ、デスカ?」
「ん〜ん、大丈…」
言いかけて、廊下の方から奇声が聞こえて来た
「GoneGoneGone!!!He is goneーーー!!!」
それは紛れも無く、この館の主のモノだった
「Michel!!」
アリスが怯えたように僕に抱き付いた