第11章 二度目の新婚旅行、の巻
避けようと思ったけど体が思う様に動かない
その若い紳士はそのまま手を伸ばすと、僕の髪を指に絡めて満足そうにまた笑った
「離せよ…僕は、貴方なんか知らない」
「何を言ってるの?僕の愛しい人…地獄から蘇って、僕を連れに来たのだろう?」
「地獄…?」
「そうさ、だって自殺した者の魂は天に召されるコト無く、地獄に落ちるのが定め…
…そうだろう?リョウ」
「…リョウ?」
「…そう」
僕の髪を弄る手が止まって、微笑むその人の顔が近づいてくる
どうにか体を捩って逃げようとする僕を、その人が覆い被さる様に抱え込んだ
「僕との関係を無理やり断たれて、ジュリエットの様に自ら毒を飲んだ、僕の愛しい恋人」
「違う!僕はっ…」
無理やり唇が僕の唇に押し当てられる
「んっ!んんーっ!!」
どうにかしたくても、体が言う事を利かない
「…無駄だよ、まだ、薬が切れて無いから…」
一度離れた唇がまた僕の唇に重なる
(嫌だ!離せ…!!)
「…Shit!!」
若い紳士は、弾かれる様に体を起こすと、唇に手を当てた
「……悪い子だ」
「……」
その人が、僕が噛みついた唇を拭った指を、ペロッと舐めた