第11章 二度目の新婚旅行、の巻
「だから、智くんが楽しそうにしてるのを見るのが、俺は一番楽しいの!」
「そんなの、僕だって翔くんが楽しいのが一番楽しいもぉん!」
「う〜ん、智くぅ〜ん♪」
「んん〜、翔くぅ〜ん♪」
向かい合って繋いだ手を振りまわしながら何時もの掛け合いを始めたら、通りすがりの紳士が僕の顔を見て驚いた様に目を見開いて立ち止まった
「…?」
どうしたのかな?と思ってその人を見てたら、ソレに気付いた翔くんが振り向いてその人を見た
その、若い品の良さそうな紳士は、振り向いた翔くんにちょっと会釈をすると
何事もなかった様に通り過ぎて行った
(何かな?なんか、気になるな)
まるでお化けでも見た様な顔してたなぁって思って、その人の後ろ姿を見送っていたら
翔くんが後ろを向いていた僕の顔をクイッと自分の方に向けさせた
見れば、今にも泣きそうな情けない顔をしている
「な、なに?どうしたの?」
「よそ見しちゃやだぁー!!(泣)」
「…(苦笑)」
半べそをかく可愛いヤキモチ妬きさんを抱きしめながら、僕はさっきの紳士の事が、やっぱり気ががりでならなかった