第11章 二度目の新婚旅行、の巻
「はぁ〜…有名な作家さんのモノなのか、それとも…あ、すいませんっ!
…じゃなかった、Excuseme!!」
翔くんが店員さんを捕まえて聞いてくれたところ
その絵本は、有名な作家さんが描いた物で、しかも一点もの
おまけに、その作家さんはもう亡くなっていて、とても貴重な品物なのだと言う
「はぁ、欲しかったけど…高すぎるなぁ」
「ん〜、絵本に120ポンドはある意味破格だね(笑)」
「……うん」
僕は仕方なく、その絵本を元あった場所に戻した
「何時の間に…」
「ほら、腹が冷えたとかいってハロッズでお茶してる時にトイレ行ったじゃん、俺?あんとき」
「…道理で長かったわけだ(笑)」
笑いながら、僕の目には涙が溢れていた
「…高いのに」
「値段は関係ないよ。
だって、ココでしか手に入らない物だし、きっと、この旅行の良い思い出になるよ!」
「…ありが、とぅ///」
嬉しすぎてまた泣いちゃった僕を、翔くんが優しく抱き寄せてくれる
「どう致しまして」
僕は翔くんの優しい腕に抱かれながら、昨夜の僕じゃとても割に合わないよ
…って、思っていた