第15章 真実 貴方side
「ずっとゆいなの母親に入院中言われてました“ゆいなをよろしくね”って…付き合った時は予言されてたのかななんて呑気に考えてましたよ。お兄ちゃんとしてって意味に気づかないで」
みなみくんは懐かしそうな目をして優しく話していた
「ゆいなは寂しがりやだしかまってちゃんだし泣き虫だけど優しいしよく笑うし一生懸命だし努力家だし、いいところばっかなんですよ」
空を仰ぐように上を向いて俺の方を見て笑った彼の姿は男でも惚れそうなくらいかっこよかった
「なんで俺らなんですかね」
ドクンッ
「…さぁ?」
「俺ら絶対あのままうまくいけば結婚できたと思うんですよ」
「何その自信」
「小さい頃から一緒でお互いのこと知り尽くしてるんでだからずっと仲良く付き合ってこれたんですよ。あーあ俺が幸せにしたかったなぁ…俺が白いドレス着せてあげたかった……どんなによぼよぼになっても隣にいるのは俺が…俺がよかったっ…」
悔しそうな声を出すけど表情はどこか優しさが残っていた
「…赤羽くん!」
いきなり立ち上がってびっくりした
「え、あ、はい」
「ゆいなのことよろしくな。俺は兄だから。ただの兄だからさ、もうなんもしてやれないから…赤羽くんにならゆいなを任せてもいいかなって」
「うわー上から目線」
俺もゆっくり立ち上がった
「赤羽くんならゆいなを幸せにしてくれるって信じてるからさ」
コツンッと拳を交えた
「当たり前でしょ、任せなよ」
俺たちの中にあった壁がとけた気がしたのはきっと間違いじゃない