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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第38章 血鬼術を解いてよ宇髄さん3※



「あいつ、誰」

怒りのような湧き上がる感情に飲み込まれる。
追い詰めるように波奈を見下ろすと、波奈は怯えるように瞳に涙の膜を張った。
そもそも俺にとっては、波奈が誰と会おうが話そうが関係のないことなのに、ひどく問い詰めてしまう。

「ちょ、蝶屋敷で、知り合いになったひと…」

「俺がお前の血鬼術をなんとかするって言っただろーが。
何他のやつに誘われてんだ」

「そ、れは…っ」

ギュッとスカートを握りしめ、口を紡ぐ。
目を合わさずにいる波奈に、苛つきが止まらない。

「それは何」

壁に追いやり返答を急かせた。
逃げられない体制に、波奈は怯えるように身体を震わす。

怖がらせるつもりなんてこれっぽっちもないのに、感情の制御が上手くできない。

「ーーー俺との同衾が嫌になったか」

ここで肯定されたら、立ち直れる気はしなかった。
それでも感情のままこの子にぶつけてしまう。

何も言わない波奈を見やる。
ようやくふるふると顔を横に振る波奈を見て、一応はほっとする。

ではなぜ。
この子の気持ちがさっぱりとわからない。
人の感情の機微に敏感なこの俺が。


「ふ、ふみを…」

「あ?」

「文を貰って、」

「さっきのあいつに?恋文か」

「う、あ、はい…」

血管がブチギレそうだ。
他の男によって顔を赤める波奈はあまり見たくはない。

「で…その…、血鬼術のことを知ってて、解いてあげたいとのことだったので、頼もうかと」

「は、はぁああ?」

呆れて空いた口が塞がらない。
お前は、なんでそう、無防備なんだ。
誰でも良いのか、俺ではなくても良いのか。

「…っんとにおまえは…っ」

「宇髄さん、怒ってる…?」

「どこのどんなやつかもわかんねえのにホイホイお前はついていくな!!」

「どこの誰だか知ってますし、それに…」

「それになんだ」

「………」

また黙る波奈にまたイラっとする。
睨むように見下ろすと、波奈はまた慌てたように目を逸らした。



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