• テキストサイズ

満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第38章 血鬼術を解いてよ宇髄さん3※







ようやくこちらに帰ってきたというのに、急な雨で足止めを食らった。今回の任務はやや遠出で、その上隠れるのが上手い鬼ときたもんだ。任務完了まで思っていた以上の時間が過ぎて、宇髄は深くため息を吐く。

疲れた身体を早急に休めたい。
身体が悲鳴をあげている。
そんなときにふと浮かんでくるのは波奈の屈託ない笑顔で、その笑顔さえ見れれば疲れも吹き飛ぶのだが。

波奈は無事だろうか…。
身体を重ね合わせた最中に、縋るように腕を掴まれた。
赤紫色のその痕跡と爪痕はもう消えかかっている。

まだ波奈の血鬼術は完全には解けていないので、不安が付き纏う。
このまま蝶屋敷に出向いて、波奈の様子を見にいきたい。
それから、1日でも早く血鬼術を解いてやって、思いの丈を伝えたい。

焦る気持ちがふつふつと湧いてきて騒がしい。
一旦冷静になろうと、近くの藤の家紋の屋敷へ向かう。


「…や、やっぱりむりです…っごめんなさい!」

「え?!ちょ…と、待ってよ」

「ほんとにごめんなさい!離してください…っ」


恋心を晒せすぎて、とうとう幻聴まで聴こえたかと思ったが、紛れもなく現実の波奈の声だった。

急いで波奈の声の方へ向かうと、何やら困っている様子だ。
隊服を見に纏った男が、波奈の腕を掴んでいる。
カッと身体が一瞬のうちに怒りが湧き上がり、2人の間に立ち男の腕を掴み上げて離させた。

「宇髄さん…っ?!」
「え!?音柱?!」
「何やってんだお前」

ジロリとその男を睨みつけて、男の腕を放り投げ波奈を囲うようにしてその男を牽制する。
この子に一体何をしようとしたんだ。
藤の家紋の家の前で。

「宇髄さん、あの、」

「俺は血鬼術を解いてやろうと…、」

「…は?」

血鬼術を解く、だ?
その男は確かにそう言った。
波奈を見やると泣きそうな顔をしている。

「…こいつの血鬼術は俺が解くことになってんだよ」

「……」

「…癸の隊士が解けるもんじゃねえと思うけど」

「…っ…も、申し訳ありません…」

「ほら行くぞ!」

「ぅええ?」

くるりとまわって、波奈を藤の家紋の屋敷へと放り込んだ。
怒りの感情のまま、主人に部屋を準備させ、ずかずかと波奈を部屋に放り投げる。

/ 818ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp